
\この記事でわかること/
★「成瀬は天下を取りにいく」の魅力
★僕が思う「大ヒットした理由」
★成瀬から得た「今後に活きる学び」
「ありがとう、成瀬」
読み終わった後、1番はじめに出てきた言葉はこれでした。
「雷に打たれて大変身!」というよりは、「読んでいたら、いつの間にかスーパーマンのコスチュームになっていた」みたいな、じっくり浸透していくような学び。
学生時代、図書館い通いすぎるあまり、地元の図書館誌のモデルになったほど読書好きな僕が、「マジで最高の主人公じゃん」と首がもげるくらい納得した本作・成瀬シリーズ。
大ヒットしている本作の紹介記事を書くのは、世間のトレンドに乗っかるみたいで、筋金入りの天邪ッキーな僕としては迷いましたが、読了後の熱が冷めなさすぎて書くことにしました。
まったく冷静にならず、勢いで書いたので少々拙い部分はありますが、ぜひ本作の魅力を感じ取っていただければ幸いです!

内容についてはほとんど触れないよ!
あくまで「僕が感じた魅力・学び」がメイン!
「成瀬は天下を取りにいく」ってなに?
改めて、本作のあらすじをすごく簡単にご紹介します。
「成瀬は天下を取りにいく」、そして続編の「成瀬は信じた道をいく」
この本は、小説家:宮島未奈 氏の人気シリーズ小説です。
滋賀県大津市を舞台にした青春小説で、主人公・成瀬あかりのまっすぐすぎる言動にじわじわ心を打たれます。
成瀬は超マイペースで、自分の信じたことをとことん突き通す「我が道をいく」タイプ。
周りに流されないどころか、むしろ「え、そうくる!?」という発言や行動で、読者も登場人物も翻弄される感じです(笑)

それがおもしろいんだけどね!(笑)
一見ぶっとんでるのに、読み進めていると「あれ、これってすごく大事なことじゃん……」と気づかされることが多く、〝エンタメ〟だけでなく〝学び〟の側面もある。
なんというか、一言で表すならば「哲学的だけど肩肘張っておらず、〝日常のなかの革命〟みたいな空気感」がある作品です。
読み終わったあとも、僕の頭の中にはずっと成瀬がいる。
思わず「ありがとう、成瀬」と口からこぼれてしまう。
キャッチコピーにもあるとおり、「最高の主人公」と出会える一冊です!
「なぜ人気??」僕が思う理由
この2冊は数々の賞を総なめにしています。
- 第21回 本屋大賞 大賞
- 第11回 静岡書店大賞-小説部門 大賞
- 「キノベス!2024」 第1位
- 「中高生におすすめする司書のイチオシ本 2023年版」 第1位
などなど、その他合わせて18冠。(しかもデビュー作で……)
つまり本作は、僕がひとりで「めっちゃいい本!」と叫んでいるわけではなく、日本中で認められている〝大ヒット作〟なわけです。
しかし、僕が本記事で「あるあるの良さ」を語ってもしょうがないと思うので、
本記事では「作品のご紹介」というよりは「僕が本作から学んだこと & 今後の生活に活かせそうなこと」を中心に語っていきますね!
人気の理由①:脇役視点で描かれる作風
僕が本作を読み始めてまず思ったのはこの部分。
「脇役視点」です。

視点???
普通、物語系って「主人公視点」あるいは「三人称視点」で描かれていることが多いのですが、本作は「脇役の視点」から描かれています。
主人公視点(一人称視点)
→「僕は~」「俺は~」「わたしは~」
「三人称視点」
→「一郎は~」「次郎は~」「三郎は~」
「成瀬あかり」が主人公なんだけど、内容はあくまでも〝彼女を見つめる脇役〟の視点。

それがまた絶妙なんですよねー♪
成瀬本人はあくまで「変わらない」存在
→ 自分の信念を貫いてブレない。その強さが魅力なんだけど、内面は語られないからこそ、「成瀬って一体なに考えてんの!?」という余白がある
読者は、語り手(=脇役)の視点で成瀬を観察していく
→ だからこそ、読者も語り手と一緒に「え、なんで今それ言うの!?」とか「いや、成瀬すげぇ……」って、驚いたり感動したり、だんだん魅了されていくプロセスを味わえる
簡単に言うと、「風穴を開けてくる〝異物〟としての主人公」がいて、「それに触れて影響を受ける私たちがいる」という形。

まさに、現代の青春のかたちだなぁって感じます!
「脇役視点」があるからこそ、僕たち読者は自分自身を投影しやすいし、「自分も成瀬みたいな友だち、ほしかったな」って感じたりするんだと思います。
人気の理由②:「クスッと笑える」が至るところにある
学びとかうんぬん関係なく、本作ってシンプルに「おもしろい」んですよね(笑)
「クスッと笑える」ポイントが至るところにあり、思わず吹き出して笑ってしまいます!
「笑いとるぞ!」という意気込んだ笑いじゃなくて、「日常(というか、主に成瀬)の絶妙なズレ」から生まれる唐突な笑い。
成瀬の発言の仕方が、「笑わせにいってる」わけじゃなくて「真面目に言ってるのに笑える」から僕たち読者も思わず笑ってしまうんですね~。

僕の笑いのツボが浅すぎるだけかもしれませんが(笑)
成瀬の発言に対して周りがツッコミ入れる流れも、関西圏(だよね? 滋賀県って)ならではの空気感でテンポがいい♬ ここでも「脇役視点」が活きてる気がします!
人気の理由③:固有名詞が現実のまんま
成瀬シリーズは、場所やモノを「固有名詞」で表してくれるので、すごくイメージがしやすいんです。

「あ、これ本当にある場所だ!」って思えるリアルさがあります♪
- 大津駅
- 膳所(ぜぜ)高校
- 琵琶湖
- 西部ライオンズ
- 西武大津ショッピングセンター
- 「コーンフレークやないかい」(漫才コンビ:ミルクボーイ のネタ)
などなど……。
もうまんま実在の地名・施設・人物名がバンバン出てくるから、読んでるうちに、
「あれ、これ今グーグルマップで辿れるんじゃね?」
「いつか成瀬の足跡をたどる大津ツアーしたい!」
という、聖地巡礼欲がくすぐられるんですよね(笑)
しかも、大変恐れ多いのですが、東京・愛知・大阪・福岡とかと比べると、「滋賀」って決してメジャーな地域じゃないと思うんですよ。(滋賀県の方、本当にすみません)
だけど成瀬シリーズが誕生したことで、「あ、この町って成瀬がいる場所だ」と、土地そのものの価値まで上がった気がしてくるのがすごいです。
人気の理由④:最強無敵の主人公「ではない」から
成瀬あかりは、まごうことなき本書の〝主人公〟
しかし、「誰もが思い浮かべる主人公像」とはちょっと違う気がするんですよね。
ドラゴン倒すとか、世界救うとか、生まれつき人外的な能力を持っているとか。
天才的に物事をこなす「ザ・主人公像」ではないんです。

SF的な能力もありません!
彼女がやってることって、
- 空気を読まない(同町圧力に屈しない)
- 他人の評価や世間体を気にしない
- カッコ当たる「自分ルール」で動いてる
- そしてそれを、一切迷わず実行する
という、すごく地に足のついた「〝普通〟の枠内での異物感」がプンプンします。
でも、読んでるうちに気づくのが、
「この子、最強じゃないけど、〝最高の自分〟であり続けようとしている」ってこと。
誰かと比べて強いとか、頭がいいとか、そういうのじゃなくて、
『〝自分の信じる道を迷わず進む強さ〟がある』
これがほんとにカッコいい。
そしてなにより、本作に出てくる周りのキャラをはじめ、読者である僕自身も、だんだんと成瀬に影響されて、〝自分の信じる道〟というのを考えるようになりました。
「最強の主人公」ではない。
でも、「誰かの人生を動かす最高の主人公」
これが成瀬あかりなんです。

「最強じゃないけど本気で生きてる人」って、読者の心をふっと動かす力がある気がします
僕が思う「成瀬の魅力」と、 成瀬から得た「今後に活きる学び」
さてさて、ここからはさらに「偏見100%、僕独自の〝成瀬に対する〟感想」になっていきます。
物語ではなく、「成瀬あかり」という主人公に対してです。

やっぱり、なんだかんだ本書の魅力って「成瀬」なんですよね~
唯一無二。いそうでいなかった主人公。
彼女から感じたこと。そして彼女から感じる魅力を、もう少し語らせてください。
自分の人生に夢中になっている
僕が思う、成瀬あかり最大の魅力はこれです。
『自分の人生に夢中になっている』
成瀬は、とにかく自分の人生に夢中になっています。
夢・目標に向かって、ただただ愚直に突き進んでいます。
毎日のちょっとした目標達成に、目の前の人のお役に立つことに、全力になっています。
現実世界に住む僕たちは、多かれ少なかれ
「他人の目」
「周囲の意見」
「世間体」
というものを気にしがちです。
とくに、SNSが当たり前になった昨今では、「人と繋がる」ことが容易になり、
そして「人と比べる」ことも、なかば自動的にできてしまうようになりました。
「マイノリティ(少数派)は避難され、マジョリティ(多数派)は勢力を増す」
「成功すれば何万人の顔も知らないフォロワーに賞賛されるが、失敗すればその逆、フルボッコにたたかれる」
「たった1つのミスが〝デジタルタトゥー〟となり、一生消えない傷になる」
これらの価値観が当たり前となり、とくに成瀬と同じ現代の高校生~大学生らは、肝に銘じている常識でしょう。
「好きを仕事にしよう!」「夢をもって挑戦しよう!」という自己啓発の言葉がSNSやYouTubeをとおして頻繁に聞こえますが、
それでも大多数の意見としては「そんなんじゃ生きていけないよ」というが、まだまだスタンダードなのではないでしょうか。
だからこそ、「我が道をいく」を地で体現している成瀬に、憧れに似た魅力を感じるのだと思います。

「ありのままの自分」を誇る成瀬だからこそ、憧れを覚えるんだと思います
他人の気持ちや行動、挑戦の結果はコントロールできない
2冊、計約400ページ。成瀬を見ていて、思ったことがあります。
それは、
「他人の気持ちや行動」、それと「挑戦の結果」はコントロールできない
ということです。
一応言っておきますが、成瀬は人の気持ちを考えていない、極悪非道なクズキャラではありません。
挑戦の結果を一切気にしない、ハングリー精神ゼロの草食系女子なわけでもありません。
他人の気持ちを考えて配慮しますし、挑戦を成功させる気持ちもあります。
しかし、それらに「執着しているか?」と聞かれたら、僕は「NO」と答えます。

おそらく成瀬も同じ答えでしょう
なぜなら、「成瀬は他人や挑戦の結果に、自分の幸せを求めていないから」です。
成瀬は「自分の心に正直になり、リスクを覚悟でやりたいことに挑戦したか」に最も大きい価値を置いているからです。
人はみな、自分でも気づかぬうちに、「他人」や「結果」に執着してしまいがちです。
こんな偉そうに島崎みゆき(成瀬の親友)並みの〝成瀬分析〟をしている僕でさえも、
「あぁ、この本(自分の本のことです)、本当に売れるのかなぁ」
「定職につかず好き放題やってる自分を、家族や親戚はどう思っているんだろう」
「この前、思い切って自分の本音を伝えたけど、ドン引きされたかなぁ」
と、ふとしたときに「考えても意味のないこと」を悶々と考えてしまうことがあります。
他人が自分をどう思うか。
他人がどう行動するか。
自分が思い切って踏み出した挑戦の結果が報われるのか。
これらを100%コントロールできる人なんて、この世界に誰一人として存在しません。

いるとしたら神様くらいです
そんなこと、誰もがわかっているはずなのに……。どうしても、そこに執着してしまう。
自分の人生の成功・幸せ・生きがいを「他人」「や「結果」に求めてしまう。
これじゃあ、「僕の人生、僕の手ではコントロール不可能です」と自分で決めているようなものです。
なんだこれ? とんだマゾヒストだ。
自分で自分の人生をベリーハードモードにしているなんて、どんだけ歪んだ癖を持ってんだよって話ですよね。
自分の行動〝だけ〟に期待する
僕は幸いにも成瀬と出会い、そして最高の学びを得ました。
自分でコントロールできるのは「自分の行動だけ」
だという学びを。
僕たちがコントロールでき、そして期待できるのは、せいぜい「自分の行動」くらい。
今日、勉強するか。
休みの日も早く起きて、カフェで朝活するか。
たった3分、されど3分。少しでもいいから運動習慣をつけるか。
報われる保証なんて何1つないけど、一歩踏み出してみるか。
自分の信念を貫き、リスクを覚悟で挑戦するか。
日々、なにを考え、どう行動し、積み重ねていくか。
それだけが唯一、自分でコントロールできることなのです。
自分に期待できることなのです。
他人や結果に執着するのは、苦しいように見えて簡単です。
自分でコントロールできないがゆえに、被害者面をしていれば、誰かが慰めてくれるからです。
行動しない自分を正当化できるからです。
でも、こんな長ったらしいブログをここまで読んでくれているあなたは違うはず。
「リスクや傷を負ってでも、わたしはチャレンジングな人生を送りたい!」と思って、ここまで僕に付き合っていただいてるはずです。
そんなあなたには、どうか、自分の人生を成功を自分で決められる。
「自分の行動〝だけ〟に期待し、コントロールする」そんな強さを持ってほしいです。
他人や結果に執着せず、自分の行動〝だけ〟に期待し、
自分の人生に夢中になる
僕が成瀬から、本シリーズから得た学びを一言で表すと、これに尽きます。
成瀬シリーズが好きすぎるあまり、すごくとりとめもない文章になってしまいましが、最後までお読みいただきありがとうございました。
できることなら、もっと早く本書に出会いたかったです。

改めてありがとう! 成瀬!
もしあなたが成瀬シリーズをまだ読んでいないのであれば、本記事の100京倍楽しい時間を過ごせると思うので、ぜひ読んでみることをおすすめします。
というか、まだ読んでないのが羨ましいです(笑)
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